「インプラントをするとMRIが撮影できない」は本当?

「インプラントをするとMRIが撮影できない」は本当?

こんにちは! 千種区たなか歯科クリニック 歯科医師の 満田 誠です。

残念ながら、歯を失ってしまった後どうするか? 大切なことですよね。そんな相談の時に、患者さまから こんな事を聞かれることがあります。

「私は時々、人間ドックや脳の検査で MRIをするんですけど、インプラントをすると撮影できなくなるんでしょう?」
「MRI前に検査技師さんから、『インプラントを外せるか、歯医者さんと相談してください』と言われました」

さて、インプラントを入れた方は本当にMRI検査ができなくなるのでしょうか……??
口腔外科出身である私の知識・経験から言えば、答えは「NO」です。

“インプラント”という言葉の意味は「イン(中に)」+「プラント(植える)」ということで、身体の中に埋め込む人工物はすべて「インプラント」ということになります。骨折の治療で骨を固定するボルト、心臓のペースメーカー、人工中耳、眼内レンズ、豊胸シリコン、入れ墨など、これら全部がインプラントと呼べます。
歯科分野でのインプラントは、喪失した歯の代わりに埋入する“人工歯根”。でも、今では「インプラント=人工歯根」のイメージが広まり、インプラントといえば歯医者での治療という受け止め方をしがちですが、もしかしたら お医者さんや放射線技師さんは、広義でのインプラントの事を言っているのかもしれません。

では、先生達は インプラントの何を心配しているのでしょうか? それはMRI検査の際の 『安全性』 と 『画像診断の精度』 です。

そもそも、MRIが どういった検査なのかというと、“強力な磁力を発生させ、体内の水分に共鳴させてキャッチした信号を画像として構成し、体の断面を様々な角度から診断する” ものです。
検査前に、「身に着けている腕時計やアクセサリーなどの金属類は外してくださいね」と言われるのが何故かというと、磁力に影響したり、診断画像の乱れをなるべく防ぐためなのですが、お口の中に固定されている金属は さすがに外せませんよね。

それでは、まず『安全性』についてです。

磁石に引き付けられるものを “強磁性体” といい、磁石に引き付けられないものを “常磁性体(非磁性体)” といいます。MRIは強力な磁場が発生するため、磁石に引き付けられる強磁性体があった場合、その影響で熱を発生したり、引き寄せられたりする危険があります。

では、歯科で使用される金属は強磁性体なのでしょうか?
強磁性体の代表的な金属は、鉄・ニッケル・コバルト・ステンレスですが、これが歯科分野で用いられるのは 義歯(入れ歯)、矯正装置 などです。すなわち、取り外しできる物ですね。MRI検査の際には外しておきましょう。
歯に装着する 被せ物に使われる金属の主な成分は、金・銀・パラジウム・銅・スズ・亜鉛・アルミニウム・インジウムなどですが、これらは皆 常磁性体なので心配ありません。
問題の歯科用インプラントはどうでしょうか? インプラント体の材質はチタンかチタン合金。これも常磁性体なのでOKです。

そう、“歯科インプラントは、MRIによる発熱などの悪影響は他の被せ物同様に無いため、『安全性』に問題なく検査が行える” と言えるのです。(ただ、被せ物やインプラントの中には「オーバーデンチャー」といって、入れ歯を支えるため上部に磁石が付いたものがあるので、これはMRI検査に支障をきたすため注意です)

MRI検査を受ける多くの患者様は歯科治療の経験があり、口腔内にはおそらく金属の被せ物が入っていることが多いでしょう。MRI検査でもし金属の発熱などがあるとするならば、それはインプラントに限らず、他の常磁性体金属でも発熱するはずです。でも、そんな事はありませんよね。
よって、インプラントなどの外せない口腔内金属によるMRI検査時の危険性に関しては、どうかご安心ください♪

次に、『画像診断の精度』について。

これは、金属の存在によって MRI画像の乱れや画質低下(アーチファクト)が発生するため、診断の妨げになってしまうというものです。
だから、検査技師さんは事前になるべく金属を無くしておきたいのですが、これが患者様にとっては大変です。 MRI検査のために口の中の金属を全て外して、検査が終わったらまた作り直し……、なんて負担が大きいですよね。外して治療中の間は、食事もままなりません。
それに、金属によってMRI画像に生じるアーチファクトの広がりは半径4~8cm範囲です(撮影法にもよりますが)。例えば、脳の診断のためにMRI検査をするにしろ、口腔から離れた距離にあるので、影響は少ないと思えます。

以上の様に、私は『歯科インプラントをしていても、MRI検査の画質を低下させることはあるが、安全性に問題はない』と考えます。

失った歯を補う方法は、やはりインプラントが最も優れた方法です。毎日しっかり咬める、という事は生活を豊かにしてくれます。それを歯科治療への誤解から、選択肢を狭めてしまうのは悲しいです。
ご自分の健康において、何を優先し、長期的にどう考えていくのか? そのお手伝いができればと思います♪ 迷っていること、分からないことがあればご相談ください。


千種区 たなか歯科クリニック
歯科医師 満田 誠

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