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2017/11/04
歯科今昔5

こんにちは。

お久し振りです。歯科医師の三浦唯一です。

フッ素をご存知ですか。周期表で見たことがある方や、フッ化物入りの歯磨き剤を使ったり、フッ化物の入ったうがい液を使ったりしている方がいらっしゃるのではないでしょうか。

元素名、フッ素。鉄が自然界では酸化鉄として地中に存在するように、フッ素もまた自然界ではフッ化物として存在しています。それこそどこにでもあります。空気の中、土の中、海の中、そして私たちの身体の中にも。

フッ化物に虫歯を防ぐ作用がある、と聞いたことがいらっしゃるかも知れません。その通りで、フッ化物は歯を構成する物質と結びつき、歯を強くします。虫歯菌の作り出す酸から私たちの歯を守ってくれます。

また、虫歯菌が砂糖と間違えてフッ化物を摂取します。すると酸が産生できない為、歯の溶けるリスクが減ります。

虫歯を防ぐ為にフッ化物が利用され始めたのがいつなのか正確な記録は残っていませんが1876年にドイツで出版された本には「フッ化物は歯に硬さと耐久性を与える」との記述があります。ただしこの本は内科向けの本で、当時あまり注目を集めることはありませんでした。

時代は下り1901年イギリスでは虫歯予防の為、フッ化物の錠剤が発売されていたようですが、詳しいことは分かっていません。

同年、アメリカで奇妙な症状を持つ人々が話題に上ります。歯の表面に、まだら模様の着色が見られる人々が見付かったのです。着色の程度は人それぞれですが、調べて行くうちに、原因は飲料水に含まれるフッ化物だと判明します。それから1942年まで継続的に、そして全米で調査を進めた結果、ある一定の濃度......当時のアメリカ公衆衛生局の発表では1ppm以下であれば着色を最低限にとどめ、かつ虫歯を減らすと結論付けられます。

これが1945年から始まった「水道水フロリデーション」のさきがけとなりました。現在、世界保健機関はフッ化物濃度を0.7から1.0ppm、アメリカ公衆衛生局は0.7から1.2ppmの範囲で水道水に添加することで虫歯を減らすことが出来るとの見解を発表しています。日常生活で欠かせない水。そこへあらかじめフッ化物を入れておけば知らず知らずのうちに歯が強くなっているのです。

人類が初めて月に行った1960年代が終わる頃、水道水フロリデーションは世界3000ヶ所以上の給水施設で行われ、8300万人にフッ化物入りの水を届けました。20世紀末には1億5500万人に給水が行われました。現在では61ヶ国3億5600万人に供給がなされています。

今後もこの傾向が強まり、世界中から虫歯のない子供や大人が生まれることを切に願っています。

ただし日本では1952年から1965年まで京都において一時的な添加が行われただけで、現在、水道水フロリデーションは行われていません。ですから皆様には是非とも薬局でフッ化物が配合された歯磨き剤を購入して頂いたり、フッ化物が含まれたうがい液(洗口剤。せんこうざい)を購入して頂いたりして、虫歯を予防して頂きたいと願っています。

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▲当院で購入できる洗口剤。フッ化物濃度は250から450ppm(公式HPより)。

しかしながら大事なことがあります。

それは、フッ化物を摂取すれば虫歯にならないのではない、という点です。毎日きちんと歯磨きをし、間食を減らし、きれいな口の中を作った上でのフッ化物の摂取をすることで、いっそう虫歯のリスクを減らせるからです。

是非、以上の点を覚えて頂いて欲しいです。

 

たなか歯科クリニック 三浦唯一

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