スタッフブログ

2018/03/24
歯科今昔10

こんにちは。

お久し振りです。歯科医師の三浦です。

「歯痛の史」ジェイムズ・ウィンブラント著(2017年)では、現代アメリカ人口の約10パーセントは、歯の治療を異常にまで嫌がる歯医者恐怖症である、と述べられています。

歯を削る振動が嫌、かん高い音が嫌、水が口の中に出るのが嫌、歯医者独特の臭いが嫌、白衣が嫌、そもそも歯科医院という空間が嫌など、原因は様々あるかも知れません。

現代に限った話ではなく、例えば16世紀終わりのイングランド(及びアイルランド)に君臨した女王エリザベス1世も極度の歯医者嫌いでした。紅茶に砂糖を入れることが富の象徴であった時代、砂糖を毎日のように摂り続けた結果、女王の歯は彼女の口の中で崩壊を続け、昼夜の間断なく痛みを発し続けました。いよいよ抜歯しかなくなりましたが女王は強硬に反対します。そこで主治医はやむなく女王の目の前で、しぶしぶ自分の歯を抜き、抜歯は恐怖ではないと身を以て教えたのです。

さて、虫歯は歯に出来ます。放置すると歯の中で広がります。ここまでで治療を行えたならば、樹脂あるいは金属で治すことが出来るでしょう。しかし歯の中央には神経があり、ここに達してしまうことがあります。そうなると、炎症が波及してしまった神経を抜く必要が出て来ます。

もし神経を取る事態となったとき、必要な治療法があります。それは根管治療というものです。今では歯内治療学として確立されているこの治療方法がいつ成立したのか、はっきりしていません。1831年のイギリスの教科書や、同時期のアメリカではこの治療が見られるので、この時期までには成立していたと考えられます。

さて、根首治療はまず、虫歯を全部取るところから始めます。次に神経を取ります。神経は歯の根っこの先まで、細く細く伸びています。ここの内部も全て取る必要がありますが、この作業には時間と回数がかかります。

根っこの先まで消毒の道具を通す必要がありますが、管は細く、そして存在する場所もまちまちであることが多く、石灰化といってさらに細くなってしまっている場合があります。すんなりと先端まで届かないのです。

どうにか先端まで到達させても、根管治療はそこからがスタートです。道具で感染の及んだ神経を取り、感染が及んでいるその周囲歯質を削り、消毒効果のある薬剤を貼ります。この効果は1週間かけて、細菌の95パーセントを徐々に殺滅させます。虫歯のようにすぐさま取り除くことが出来ず、手順を多く踏まねばならない治療が、根管治療です。

▲根管治療に用いられる道具。針金のように細い。色の違いは太さの違いによるもの。1本右に行くごとに0.02mmもしくは0.05mm太くなる。

このように神経を抜くことはご自身にとっては極めてショックであると同時に、治療に多くの時間を要します。虫歯が神経に及んでしまう前に、お早めにお越しください。

たなか歯科クリニック 三浦

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