院長ブログ

Googleマップと歯のレントゲン

今回はレントゲン写真について。

一般的に歯科医院で撮影されるレントゲン写真は2種類
パノラマ撮影
デンタル撮影
です。

これに加えて最近はCTを撮影する機会が増えていますので、この説明も。

今回は歯科で撮影するレントゲン写真とGoogleマップを比較しながら話しを進めていきます。

 

パノラマ写真は名前の通り口腔内全体をざっくり撮影します。
これに写っている範囲が歯科領域と言っても良いでしょう。
ちなみにレントゲン写真は向かって左側が患者さんにとって右側です。左右逆に写っているように見えます。

パノラマ写真は地図で言えば、日本全体の地図。
日本だけでなく隣国も写っています。
名古屋から東京、東京から仙台の距離はほぼ同じ、なんてことも分かります。

全体を一目で見渡せるため、まず最初に撮影することが多いのがパノラマ写真です。

 

しかし全体を写すためフォーカスが絞れずボケ気味な画像です。そのため拡大しても詳細はわかりづらいです。
上の日本地図をいくら虫眼鏡で見ても名古屋市千種区の様子はわかりません。

 

そこで詳細を知るために撮影するのがデンタル写真です。
(この写真はガタパーチャと言われる造影性のものを歯茎の膿が出ている穴に差し込んで撮影しています)

地図で言えば、拡大地図。
たなか歯科クリニックの周囲の地図です。

デンタル写真の写る範囲はとても狭いのですが、ピントが合っているため詳細な画像を得ることができます。
何枚も撮っているレントゲン写真はこの撮影方法です。

 

しかしどんなに詳しいレントゲン写真でも2次元的で立体的ではありません。
そこで撮影するのがCTです。

CTとはComputed Tomography(コンピュータ断層撮影)といい、パソコン上で画像を構築していきます。

下の画面はコンピューターが作った3次元的な画像と、XYZ軸での断面の画像が示されています。

上の写真もCT画像の一部です。根の先に炎症が広がり、骨が無くなっています。上顎洞へも炎症は広がっていることが観察できます。

 

CTはGoogleマップで言えば「ストリートビュー」っていうやつですね。
目的地周辺をぐるっと見ることができて便利です。

GoogleマップのストリートビューをPCで利用したことがある方はわかると思いますが、
目的地を探すときにマウスでグリグリと景色を回したり拡大しますよね。

そんな要領で私達はパソコンでCT画面を見ながらマウスを動かして異常を発見していきます。

 

皆さんがスマホを片手にGoogleマップで目的地にたどり着くように、私達歯科医はレントゲン写真で病巣を見つけます。

詳細なデンタル撮影して異常所見がなくてもCTを撮影したら奥に広がった病巣が見つかった、なんてこともあります。

 

まとめると

パノラマ撮影(=隣国も入った日本全土の写真):歯科領域だけでなく周辺領域を把握する
デンタル撮影(=千種区の地図):歯を一本ずつ診査できる
CT撮影(=ストリートビュー):病巣の立体的な広がりがわかる

と言うわけで、診断にはどれも大切なのです。

 

またレントゲン写真の被曝量についてはスタッフブログのどこかで書かれているかと思います。
ネットでググればすぐに出てくると思いますが。

ホントに便利な世の中になりましたね。

田中

前歯の深いむし歯の治療

コンポジットレジン充填(CR充填)

 

コンポジットレジン充填(CR充填)はむし歯治療で頻度の高い治療法です。

1日で治療が終わり、保険で白い歯になるため希望される患者さんが多いです。

(強度と審美性が高い保険適応外のCR充填:ダイレクトCRもあります)

 

しかし、強度的な問題で割れるなどのトラブルが出たり歯医者の腕の差がでる治療法でもあります。

 

当院で行ったケースです。

冷たい水がしみる状態で、明らかに前歯にむし歯があります。

冷温、電気歯髄診はすべて正常です。

レントゲン写真ではむし歯が神経まで届いているかもしれません。

診査の結果神経はまだ生きているので神経を残しつつ審美性の回復を狙います。

歯肉が腫れていたため、事前に歯科衛生士による歯磨き指導で歯肉の改善を行いました。

患者さんの協力はとても大切です。

 

Leica Picture

神経に近いケースなのでラバーダムで感染予防しました。

今回は1歯のみ露出しています。

むし歯の穴は通常入り口小さくて、中は広がっています。

今回歯の幅の1/3はやられています。

 

Leica Picture

歯の裏側からむし歯にアプローチする方法もありますが、むし歯を取り残す危険性があることと、すでに表側にむし歯が広がっていることから正攻法で表側からアプローチしています。

案の定、むし歯は神経(歯髄)まで達していました。

露出した歯髄は小さく、すぐに止血できたため直接歯髄覆髄(神経を残す)をおこないました。

Leica Picture

写真を見て歯がたくさん削られた、と感じるでしょう。

むし歯をほっておくと、こんなにも大きくむし歯は広がっているのです。

 

治療直後の写真です。

Leica Picture

 

レジンは2色使用して自然感を出しました。

まだ研磨が甘いので後日研磨しましたが、後遺症としての症状は軽く冷水がしみる程度でした。

 

歯に対する接着剤の進歩とコンポジットレジンの物性の向上により、CRの適応が広がっています。

しかし全てのむし歯にCRが適応ではありません。

 

かみ合わせやむし歯の大きさ、神経が生きているか。などいろいろな要素を考えて治療方法は決定します。むし歯治療の際はかかりつけの先生に説明を受けると良いでしょう。

 

このケースにおける担当

歯科医:田中

歯科衛生士:奥田

良い歯医者の選び方?!

良い歯医者の選び方?!

 

先日本屋さんに行ったらこんな雑誌が!!

このような雑誌の歯科について記事はいつも首を傾げる内容が多いのですが、
今回はいたってまとも。

思わず買ってしまいました。


この雑誌によると、「良心的歯医者は根っこの治療で分かる」そう。

全くその通りでございます。
(またこの件については投稿する予定)

 

しかし歯医者達が語る「良い歯医者」はちょっと違います。

歯科関係者が考える「良い歯医者」とは「臨床ができる人」という意味合いで語られることが多く、少し患者さんと視点が違うようです。

 

では歯科医が臨床ができることを他の人に証明するにはどうしたら良いか?

それは「写真」です。

レントゲン写真はもちろんのこと、口腔内写真です。

どんなに上手く治療ができたか話しても百聞は一見にしかず。

術前と術後の写真の比較で語られます。

(学会でも、必ずきちんとした写真の提出が義務付けられています)

 

すなわち歯科医が考える良い歯医者とは

「写真(レントゲン含む)をたくさん撮る医院」

ってことになります。

写真を使って患者さんに説明するのはもちろんのこと、自分の治療の予後を追うためにとても大切です。
(もちろんレントゲンの被曝量を考えて闇雲に撮影するのはダメです)

ちなみに使用するカメラですが、家庭用サイズのデジカメは主に患者さん説明用に使います(最近はiPhoneで撮る方もいらっしゃいます)。

大きな一眼レフに巨大なストロボを付けているのは学会発表用。

診療所に行って、手をプルプルさせながら一眼レフで撮影している歯科医や歯科衛生士がいたら本格的な治療をしていると言っても良いでしょう。

 

以前、ある患者さんから

「そんなに写真を撮って、保険点数稼ぎだろ!?ボッタクリ〜!!」

って言われてしまいました。

(ちなみにたくさん撮っても5枚以上は点数はありません)

なぜ写真を撮るのか説明不足でした。

不快な思いをさせてしまって申し訳ありません。。。

でもきちんと写真を撮影し、術前術後を患者さんに見ていただくととても喜んでいただけます。

是非撮影の時はご協力お願いいたします。

 

田中

歯が原因で鼻の病気!?

歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)

歯が原因で蓄膿症(副鼻腔炎)になってしまっている状態です。
大きなむし歯があったり、以前に神経の処置(歯内療法)を受けていることがほとんどです。
一般的に原因である歯を治療し、それでも治らない場合は口腔外科、耳鼻咽喉科で処置が必要になる場合もあります。

実は上顎の奥歯ではレントゲンを撮ると、結構な頻度で歯の根の先の炎症が上顎洞まで進んでいるのを見ます。

無症状であることが多いのですが、何かのきっかけで顔が腫れ上がり激痛が走る場合もあります。

【当院でのケース】

関西方面に単身赴任中の患者様です。
遠方から通院の方はそれだけリスクが増えますので、気が引き締まります。
できればご近所の歯科医院にかかって頂けたらベストなのですが。。。

上顎いちばん後ろの歯の違和感を訴えています。
問診や様々な診査をした後にレントゲンを撮影しました。

根尖病巣がハッキリと写っています(赤い点線の範囲)。

CT撮影しました。

4ブロックに分けた画像で右上の画像を見てください
(見づらくてすいません)。

上顎で歯の上のくもりが左右で異なることに気がつきましたか?
画像の右側は上顎洞の粘膜が腫れて白く写っています
(左右逆に写りますので患者さんにとっては左側です)。

このケースではたまに鼻閉感があるそうですが歯と直接関係しているかはわかりません。
歯の神経をとる「抜髄」処置がされていましたが、
その時は痛みはとれたようですが、残念ながら感染は深いところまで進んでいます。

 

日本の抜髄処置の成功率は世界的に見てかなり低いレベルです。

しかし日本の歯科医の技術レベルは低くありません。
なぜこのような状況なのか。
長くなりますのでまたの機会にコメントします。
(ネットで検索すればすぐに見つかるでしょう)

治療計画を立て、まず被っている冠を外し歯内療法を行うことにしました。

(マイクロスコープ ・ミラー像)

人工物を取り除くと、歯の根っこの中からウミが出てきました。
白っぽく写っている液体がそれです。

周囲がグリーンに写っているのがラバーダム、歯の周囲の青色のものが密封するためのプラスチックです。

歯の中のバクテリアを減少させるのが今回の治療の目的です。

歯をしっかり隔離し唾液などからの感染を防ぐことは治療の基本中の基本です。

もちろん使用器具はしっかりと滅菌されています。

今回の場合は「リトリートメント」と言って治療した歯の再治療です。
通常の治療よりも当然難易度は高くなります。

特に注意することは根管内を消毒する時に多量の消毒液を使用します。
この際、薬液が上顎洞まで漏れ出してしまうと重篤な問題が生じます
(ヒポクロアクシデント)。

どんなに注意深く施術しても、根の先が壊れていて漏れやすい構造になっている場合もあります。

それでも洗浄・消毒しなくては治りません。
根の治療はホントに難しいといつも思います。

根の先の病巣まで器具が届いたことを確認したレントゲン写真です。
根の先は肉眼では見えませんしマイクロスコープ でも確認できない場合はレントゲン写真を撮影します。

今回のように膿が出てくるケースは比較的簡単に病巣までタッチできます。

しかし根の神経の管が詰まっている時は、とても苦労します。

歯科医も頑張りますので、患者さんも頑張って諦めずに通院して下さいね!!

根充(根の中を封鎖すること)後のレントゲン写真です。

仮封までしているためラバーダムをはずして撮影しました。

根尖病巣は縮小しています。

(最初のレントゲン写真と比較してみてください)

臨床的な所見は特にありません。

鼻閉感はなんとなく少なくなったと聞きました。

今後仮歯で経過観察し、良好ならば冠をかぶせる治療に移ります。

 

歯性上顎洞炎は歯を抜いてしまえば、跡形もなく治る場合がほとんどです。

しかし少しでも歯を残したいとお考えの方はかかりつけの先生にご相談すると良いと思います。

このケースにおける担当
歯科医:田中
歯科衛生士:奥田

歯が割れてしまった時の治療

「割れた歯(歯牙ハセツ)の治療」

歯を失う原因のNo. 1は「歯周病」。
そして2番目は「虫歯」。
3番目は「破折」です。

やっかいなのは、歯周病とむし歯はある程度予防できるのですが、
「破折」はある時突然襲ってきます。

よく神経を取ると歯が割れやすくなる、と言われていますが神経のある歯でも割れることがあります。

割れ方は様々なパターンがあり、垂直に竹を割ったように真っ二つになった場合は残念ながら抜歯が適応になります。

今回は治療前にCT撮影し歯を保存したケースです。

もちろん全ての破折歯を保存できる訳ではありません。
客観的な診断のもとで施術したことをご理解ください。

(このケースではCT撮影や材料は保険適応外のものを使用しています)

来院時の歯の状態です(マイクロスコープ での写真です)。

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他院にて上の奥歯に応急処置がされており、次回抜歯と言われたそうです。

セメントの一部を外すと破折がハッキリと確認できます。

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2つになった歯はそれぞれグラグラし、かむと強い痛みがあります。
少し動かすだけで出血します。

歯髄診=歯の神経の診断(冷・温熱、電気)では反応がありませんでした。
神経は死んでしまっているようです。
診断結果は欧米の診断基準でclass3(難症例)、抜歯判断でもおかしくないケースです。

もし残せたとしても健康な歯と同じように回復することはできません。
十分な説明の後、歯を出来る限り残したいという希望があったためCTを撮影しました。

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破折線は歯を縦断していましたが、致命傷は免れたようです。

しかし3つの根のうち一つにヒットしているため、この根は摘出します。
やはりただでは済まされないようです。

また感染は根の先まで進み、上顎洞(耳鼻科領域)まで広がっています。
歯が原因の上顎洞の炎症を「歯性上顎洞炎」といいます。

歯内療法が必要です。

歯内療法→割れている根の摘出→仮歯で経過観察→最終的な被せ物
という治療計画を立てました。

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歯に矯正用のバンドを巻き固定しました。言わばギブスですね。

また亀裂にレジンやセメントを流し込み、歯の内部を密閉できる状態にしました。

歯内療法は感染源を断ちバクテリアを減少させるのが目的です。
せっかく中身をきれいにしても感染経路を遮断しなくては上手くいきません。

緑色のシートはラバーダム
もうおなじみですね。
歯の保存療法ではマストなアイテムです。
歯を隔離して感染予防するだけでなく、器具落下による誤飲を防ぎます。

噛んだ拍子に亀裂が入らないように、噛み合わせを減らし患者さんにはこの歯で噛まないように協力していただきました。
患者さんの協力はとても重要です。治療は歯医者と患者さんの二人三脚です。

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(レントゲン写真)
根充(根の中を密封する)後、ラバーダムを外し一つの根を摘出しました。

写真では分かりずらいですが、3本足から2本足になっています。

(高流動性の材料が根管孔外にフローしていますが症状はありません。将来的に吸収されます)

この後、残した根はそれぞれ分離され冠をいれる準備をします。

お手入れ方法を説明し3ヶ月間仮歯で過ごして頂き、経過を見ました。

十分に噛めて、お手入れもできることが確認できたため、歯型をとりセラミックの冠をセットしました。

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セラミックの歯の形が通常とは異なっているのは根っこが一つないからです。

残された2つの根の間に歯間ブラシを入れてもらいます(上の写真)。

この部分はとても食べ物がはさまりやすくなり、虫歯のリスクが高い場所です。

治療は終わりましたが、毎日のお手入れと定期的なプロフェッショナルケアが必要になります。

また、さらなる破折のリスクもあるためかみ合わせのチェックも大切です。

毎日のお手入れなど手間がかかりそう、と思う方もいらっしゃるでしょう。

そうなんです。歯を残すということはリスクも残るということです。

今回の破折ケースでは致命傷を免れ歯を保存しましたが、治療後も虫歯や破折のリスクから解放された訳ではありません。

歯を残すことはそれなりの覚悟が必要だと思います。

いっそのこと抜歯して、入れ歯やブリッジ、インプラントの方が楽かもしれません。

(もちろんそれぞれの治療のリスクは新たに発生しますが)

どの治療方法が適切か、患者さんの価値観やかかる時間と費用を考慮しなくてはいけません。

治療方法は最終的に患者さん自身で決めることですが、納得しないまま治療が進んでも良い結果は得られないでしょう。

もし自分の歯が割れてしまった時、治療の判断の一助となったら幸いです。

このケースにおける担当
歯科医:田中、西尾、木方
歯科衛生士:奥田

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