院長ブログ

コロナ禍で進行するむし歯

皆様こんにちは。

千種区覚王山のたなか歯科クリニック、院長の田中です。

まだまだ残暑厳しいですが、マスク苦しいですね!!
夏のマスクについて賛否両論ありますが、とりあえずマスクは今やネクタイなどと同じく身だしなみの一部となった気がします。

さてコロナ禍において「不要不急」の行動はつつしむように、と報道されています。
日本中、そして千種区の皆様もそれに従い、むし歯があることを知りつつも歯科医院への通院を我慢される方はすくなくありません。

その結果たなか歯科クリニックだけでなく他の医院においても最近の傾向として、

「重症化した方の来院が多い」

ことが上げられます。

「痛くてたまらない」
「歯がグラグラしてきて食事ができない」

突然の痛みに耐えかねての来院が多いのです。

 

ほんの一例ですが、

上のレントゲン写真は新型コロナ前です。小さなむし歯が見つかりました。

この段階ならば小さくむし歯を取り除き歯へのダメージは最小限で済みます。

 

次の写真は上と同じ歯を最近撮影したレントゲン写真です。

むし歯は大きく進行し、神経の近くにまで迫っています。

コロナを恐れるあまり予約をキャンセルし、コロナ禍が収まったら受診しようと考えていたそうですが、
残念ながらそれより先に痛みがでてしまいました。

「神経を残す・残さない」を考えなくてはいけないほど進行したむし歯です。
当然治療期間だけでなく治療後の違和感や治療費も大きくなります。

治療説明時、とても後悔している表情を見ていたたまれない気持ちになりました。

治療は麻酔下でラバーダム(歯を隔離して感染を防ぐ)を行い、神経を保存しました。
現在経過観察中です。

 

この件があって以来、お節介だと思われるかもしれませんが、キャンセルでしばらく来院されていない患者様に電話やはがきで連絡することにしました。

「連絡なんていらない!!」とお叱りの言葉を頂くことも希にあります。
でも歯を失う悲しみを思えば中断されている方に連絡することが患者利益に繋がると思っています。

歯の治療(むし歯そして歯周病の治療)は放置しておいて治ることはありません。
歯の治療は「不急」に思われるかもしれませんが、「不要」ではないのです。
遅れれば遅れるほど治療が難しくなる傾向があります。

比較的新型コロナが落ち着いている今が歯医者に通う良い機会だと思います。

どの歯科医院でも感染対策がなされており、クラスターになった例はありません。
安心して通院してください。

これからどうなるか分かりませんが、冬になりインフルエンザが蔓延する前に、治療を終えておくことをおすすめします。

 

歯科医から見てイソジンのうがいは良いのか?

歯科医の視点からポビドンヨード製剤のうがいはどうか?

答えは「過度のうがいは避けて!」です。

 

コロナ対策の一つにイソジンなどのポビドンヨード製剤(以下ヨード製剤)のうがいが報道され薬局から次々とイソジンなどのうがい薬が消えています。

このヨード製剤は手術など局部の消毒に頻繁に使われる薬でその効果は証明されています。

 

しかし過度のうがいを避ける理由は3つあります。

1つ目は虫歯の様に歯が溶ける

2つ目は歯に色がついて取れなくなる

3つ目は口腔内の常在菌まで殺してしまう

 

1つ目についてですが、ヨード製剤はコカコーラほどの酸性を示し、口腔内に残留することで歯の表面の美しいエナメル質が溶けてしまいます。

酸により歯が溶けることを「酸蝕症(さんしょくしょう)」といい症状が進むと冷たいものがしみたり虫歯の様な痛みが出ます。更に症状が悪化すると神経を取り冠をかぶせる必要が出てきます。

この酸蝕症は1本だけでなく全体の歯に見られるため治療本数がとても多いのが特徴です。

 

2つ目は歯に色がつくこと。

ヨード製剤は黄色に着色する性質を持ちます。

先ほど述べたように、溶けた歯の表面はザラザラになります。そこへヨードの黄色い色素が入り込み取れにくい着色となります。

考えてもみてください。黄色く着色し、溶けて薄っぺらくなった歯を。おまけに冷たい物がしみるのです。こうなりたくないですよね?!

 

3つ目の常在菌を殺してしまうことですが、お口の中は善玉菌もいれば悪玉菌もいます。

それらの菌がバランスをとりながら生きているのですが、外部から侵入した雑菌の繁殖を防ぐ効果があります。

常在菌が死滅してしまい、後から悪い菌が侵入・増殖してしまうと治りにくい病気になってしまいます。

 

以上が、感染者以外はコロナ予防としてヨード製剤の長期うがいを避けて欲しい理由です。

新型コロナウイルスを怖がるあまりに、大切な歯を失い苦しんで欲しくないと思います。

田中伸尚

歯が割れてしまった時の治療

「割れた歯(歯牙ハセツ)の治療」

歯を失う原因のNo. 1は「歯周病」。
そして2番目は「虫歯」。
3番目は「破折」です。

やっかいなのは、歯周病とむし歯はある程度予防できるのですが、
「破折」はある時突然襲ってきます。

よく神経を取ると歯が割れやすくなる、と言われていますが神経のある歯でも割れることがあります。

割れ方は様々なパターンがあり、垂直に竹を割ったように真っ二つになった場合は残念ながら抜歯が適応になります。

今回は治療前にCT撮影し歯を保存したケースです。

もちろん全ての破折歯を保存できる訳ではありません。
客観的な診断のもとで施術したことをご理解ください。

 

(このケースでは材料は保険適応外のものを使用しています)

 

来院時の歯の状態です(マイクロスコープ での写真です)。

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他院にて上の奥歯に応急処置がされており、次回抜歯と言われたそうです。

セメントの一部を外すと破折がハッキリと確認できます。

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2つになった歯はそれぞれグラグラし、かむと強い痛みがあります。
少し動かすだけで出血します。

歯髄診=歯の神経の診断(冷・温熱、電気)では反応がありませんでした。
神経は死んでしまっているようです。
診断結果は欧米の診断基準でclass3(難症例)、抜歯判断でもおかしくないケースです。

もし残せたとしても健康な歯と同じように回復することはできません。
十分な説明の後、歯を出来る限り残したいという希望があったためCTを撮影しました。

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破折線は歯を縦断していましたが、致命傷は免れたようです。

しかし3つの根のうち一つにヒットしているため、この根は摘出します。
やはりただでは済まされないようです。

また感染は根の先まで進み、上顎洞(耳鼻科領域)まで広がっています。
歯が原因の上顎洞の炎症を「歯性上顎洞炎」といいます。

歯内療法が必要です。

歯内療法→割れている根の摘出→仮歯で経過観察→最終的な被せ物
という治療計画を立てました。

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歯に矯正用のバンドを巻き固定しました。言わばギブスですね。

また亀裂にレジンやセメントを流し込み、歯の内部を密閉できる状態にしました。

歯内療法は感染源を断ちバクテリアを減少させるのが目的です。
せっかく中身をきれいにしても感染経路を遮断しなくては上手くいきません。

緑色のシートはラバーダム
もうおなじみですね。
歯の保存療法ではマストなアイテムです。
歯を隔離して感染予防するだけでなく、器具落下による誤飲を防ぎます。

噛んだ拍子に亀裂が入らないように、噛み合わせを減らし患者さんにはこの歯で噛まないように協力していただきました。
患者さんの協力はとても重要です。治療は歯医者と患者さんの二人三脚です。

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(レントゲン写真)
根充(根の中を密封する)後、ラバーダムを外し一つの根を摘出しました。

写真では分かりずらいですが、3本足から2本足になっています。

(高流動性の材料が根管孔外にフローしていますが症状はありません。将来的に吸収されます)

この後、残した根はそれぞれ分離され冠をいれる準備をします。

お手入れ方法を説明し3ヶ月間仮歯で過ごして頂き、経過を見ました。

十分に噛めて、お手入れもできることが確認できたため、歯型をとりセラミックの冠をセットしました。

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セラミックの歯の形が通常とは異なっているのは根っこが一つないからです。

残された2つの根の間に歯間ブラシを入れてもらいます(上の写真)。

この部分はとても食べ物がはさまりやすくなり、虫歯のリスクが高い場所です。

治療は終わりましたが、毎日のお手入れと定期的なプロフェッショナルケアが必要になります。

また、さらなる破折のリスクもあるためかみ合わせのチェックも大切です。

毎日のお手入れなど手間がかかりそう、と思う方もいらっしゃるでしょう。

そうなんです。歯を残すということはリスクも残るということです。

今回の破折ケースでは致命傷を免れ歯を保存しましたが、治療後も虫歯や破折のリスクから解放された訳ではありません。

歯を残すことはそれなりの覚悟が必要だと思います。

いっそのこと抜歯して、入れ歯やブリッジ、インプラントの方が楽かもしれません。

(もちろんそれぞれの治療のリスクは新たに発生しますが)

どの治療方法が適切か、患者さんの価値観やかかる時間と費用を考慮しなくてはいけません。

治療方法は最終的に患者さん自身で決めることですが、納得しないまま治療が進んでも良い結果は得られないでしょう。

もし自分の歯が割れてしまった時、治療の判断の一助となったら幸いです。

このケースにおける担当
歯科医:田中、西尾、木方
歯科衛生士:奥田

歯が原因で鼻の病気!?

歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)

歯が原因で蓄膿症(副鼻腔炎)になってしまっている状態です。
大きなむし歯があったり、以前に神経の処置(歯内療法)を受けていることがほとんどです。
一般的に原因である歯を治療し、それでも治らない場合は口腔外科、耳鼻咽喉科で処置が必要になる場合もあります。

実は上顎の奥歯ではレントゲンを撮ると、結構な頻度で歯の根の先の炎症が上顎洞まで進んでいるのを見ます。

無症状であることが多いのですが、何かのきっかけで顔が腫れ上がり激痛が走る場合もあります。

【当院でのケース】

関西方面に単身赴任中の患者様です。
遠方から通院の方はそれだけリスクが増えますので、気が引き締まります。
できればご近所の歯科医院にかかって頂けたらベストなのですが。。。

上顎いちばん後ろの歯の違和感を訴えています。
問診や様々な診査をした後にレントゲンを撮影しました。

根尖病巣がハッキリと写っています(赤い点線の範囲)。

CT撮影しました。

4ブロックに分けた画像で右上の画像を見てください
(見づらくてすいません)。

上顎で歯の上のくもりが左右で異なることに気がつきましたか?
画像の右側は上顎洞の粘膜が腫れて白く写っています
(左右逆に写りますので患者さんにとっては左側です)。

このケースではたまに鼻閉感があるそうですが歯と直接関係しているかはわかりません。
歯の神経をとる「抜髄」処置がされていましたが、
その時は痛みはとれたようですが、残念ながら感染は深いところまで進んでいます。

 

日本の抜髄処置の成功率は世界的に見てかなり低いレベルです。

しかし日本の歯科医の技術レベルは低くありません。
なぜこのような状況なのか。
長くなりますのでまたの機会にコメントします。
(ネットで検索すればすぐに見つかるでしょう)

治療計画を立て、まず被っている冠を外し歯内療法を行うことにしました。

(マイクロスコープ ・ミラー像)

人工物を取り除くと、歯の根っこの中からウミが出てきました。
白っぽく写っている液体がそれです。

周囲がグリーンに写っているのがラバーダム、歯の周囲の青色のものが密封するためのプラスチックです。

歯の中のバクテリアを減少させるのが今回の治療の目的です。

歯をしっかり隔離し唾液などからの感染を防ぐことは治療の基本中の基本です。

もちろん使用器具はしっかりと滅菌されています。

今回の場合は「リトリートメント」と言って治療した歯の再治療です。
通常の治療よりも当然難易度は高くなります。

特に注意することは根管内を消毒する時に多量の消毒液を使用します。
この際、薬液が上顎洞まで漏れ出してしまうと重篤な問題が生じます
(ヒポクロアクシデント)。

どんなに注意深く施術しても、根の先が壊れていて漏れやすい構造になっている場合もあります。

それでも洗浄・消毒しなくては治りません。
根の治療はホントに難しいといつも思います。

根の先の病巣まで器具が届いたことを確認したレントゲン写真です。
根の先は肉眼では見えませんしマイクロスコープ でも確認できない場合はレントゲン写真を撮影します。

今回のように膿が出てくるケースは比較的簡単に病巣までタッチできます。

しかし根の神経の管が詰まっている時は、とても苦労します。

歯科医も頑張りますので、患者さんも頑張って諦めずに通院して下さいね!!

根充(根の中を封鎖すること)後のレントゲン写真です。

仮封までしているためラバーダムをはずして撮影しました。

根尖病巣は縮小しています。

(最初のレントゲン写真と比較してみてください)

臨床的な所見は特にありません。

鼻閉感はなんとなく少なくなったと聞きました。

今後仮歯で経過観察し、良好ならば冠をかぶせる治療に移ります。

 

歯性上顎洞炎は歯を抜いてしまえば、跡形もなく治る場合がほとんどです。

しかし少しでも歯を残したいとお考えの方はかかりつけの先生にご相談すると良いと思います。

このケースにおける担当
歯科医:田中
歯科衛生士:奥田

当院における新型コロナウイルス(COVID-19)感染予防対策について

通常のオートクレーブによる滅菌と薬液による消毒に加えて

・換気の徹底
・次亜塩素酸水(POICウォーター)による口腔内消毒
・POICウォーターの噴霧による空間除菌
・スタッフのマスクとグローブの着用
・診療時間の短縮(17時まで)
・できる限り待合室で患者さんを待たせない
・患者さんが手に触れるボールペンなどの消毒
・スタッフの毎朝の検温

を行っています。
院内が若干塩素の匂いがするのは次亜塩素酸水の匂いです。

尚、POICウォーターはもともと口腔内洗浄のために作られたもので、
歯を溶かさないように中性に調整されています。
吸い込んでも皮膚に付着しても問題はありません。

院内で生成しています。ご自宅でも次亜塩素酸水を使いたい方は受付までご相談ください。

院長

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