周術期と口腔ケア

周術期と口腔ケア

日ごとに秋らしくなってきました。例年、この時期になると紅葉狩りにいきたいなぁと思うのですが、なかなかいけずに冬を迎えてしまいます。今年こそはと思っていますがどうなるでしょうか?
大好きな栗のsweetに目がくらんでしまって、馬肥ゆる秋まっしぐらな千種区のたなか歯科クリニックの歯科衛生士の三角(ミスミ)です。

 周術期って聞くと何だか聞き慣れない言葉ですね。
周術期とは、通院中に手術が決まり、入院して手術を受けその術後と退院して社会復帰までの期間のことを指します。簡単に言えば、手術前から手術、その術後の経過までということになります。
大きな手術になればなるほど身体の侵襲、ダメージが大きくなりますが、できるだけよい栄養状態で体力があるうちに手術を受けるのと、病気が進行して栄養状態が悪くやせ細ってから手術を受けるのとでは、術後の回復に差が出て入院日数に差がでるのは何となく想像できると思います。手術前に歯科にかかって専門的にお口の中をきれいにしてもらって、口の中の細菌をできるだけ少ない状態にしてから、手術を受けると入院日数が短くなる、言い換えれば周術期に歯科に専門的にお口の中を管理してもらうと早く退院できるということが理解され、平成24年に大きな手術の前には医科から歯科に紹介し、お口の細菌のコントロール、口腔機能管理をすることが保険導入されました。
 実際には、術後合併症も軽減できることと入院日数の短縮と合わせて、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療についても同様の効果があるということで、医科と歯科が連携して患者さんの手術の成功と術後の良好な経過を目指すこととなりました。
具体的にどのような術後合併症が軽減できるかというと
・手術後の肺炎
全身麻酔で手術を行うときに、挿管といって麻酔や呼吸をサポートするためのチューブを口のから気管に通すのですが、口の中の手入れを怠り、細菌がいっぱいの汚いお口の中に管を通すと、口の中の汚い細菌も一緒に押し込んでしまうので肺炎を起こしやすくなります。手術前にお口の中の細菌をできるだけ少ない状態してから、挿管を行うと術後の肺炎の発症を軽減できることがわかっています。
・手術部位の感染
手術部位に細菌感染すると炎症が起きたり、膿がでて、発熱などがおきたりします。
手術部位の感染は、入院日数の延長につながります。
手術前に口の中の細菌を少なくすることで術後の感染が減ることがわかっています。
・手術部位の縫合不全
手術した部位の縫合した部分が、くっつかずはがれることで内容物がでてくることもあります。、術前に口の中の細菌を少なくすることで軽減できることがわかっています

手術が決まりましたら、ぜひ一度ご相談ください。
入院中のセルフケアの方法や入院時にお口のケアに必要な物品等を丁寧にお話して、口の中の細菌をできるだけ少ない状態になるように、歯石や歯垢を専門的な技術で取り、普段のセルフケアではできないところまで、手術が成功しますようにと祈りを込めながら、しっかりケアさせていただきますね。

千種区 たなか歯科クリニック 
歯科衛生士 三角洋美

新しい歯磨剤の販売始めました

こんにちは千種区たなか歯科クリニック歯科衛生士の堀毛です。秋気さわやかな季節となりましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。
今回のブログでは当院で新しく販売を開始した歯磨剤についてお話しさせていただきます。
まず一つ目が『大人のトータルケア歯みがきジェル』
様々なトラブルが起きやすい口腔内をトータルケアしてくれる商品です。これ一つに複数の口腔内リスクをカバーする成分が含まれているのです。
(歯周病)
*IPMP
*CPC
*グリチルリチン酸ジカリウム
(根面う蝕…根元の虫歯)
*フッ化ナトリウム1450ppmF
*IPMP
*CPC
(口臭)
*IPMP
*CPC
(知覚過敏症状)
*硝酸カリウム
(歯根面、修復物)
*研磨剤・清掃剤フリー

またこれらの薬用成分がとどまりやすいようにも工夫されています。
高密着成分(無水ケイ素、ヒドロキエチルセルロース)により、歯面にしっかり密着し唾液にとけにくいようになっています。また磨き始めからスピーディーなフッ素の放出とフッ素の吸着をするようになっているのです。
そして歯面や修復物にやさしい研磨剤・清掃剤フリーで電動歯ブラシにもご使用いただけます。ジェルですが化学の力によって着色汚れがつきにくいようにもなっています。ポリリン酸ナトリウムと結合し、表面のステインやタバコのやになどの着色汚れをうかせます。

効果を高めるための3つの磨き方のポイントもお伝えします。
①歯みがきジェルを歯面全体に広げてから磨く
②うがいはひと口分(10~15ml)で1回だけ
③磨いた後は1〜2時間程度は飲食しない

次にお子さん用の歯磨剤を紹介します。
『チェックアップジェル(500ppmFバナナ味)』
こちらは歯が萌出した6ヶ月くらいから5歳までのお子さんが対象です。
フッ素が口腔内のすみずみまで広がりやすいソフトなジェルタイプで研磨剤無配合です。
『チェックアップコドモ(950ppmFブレープ味)』
こちらは6歳から14歳のお子さんが対象です。
フッ素が口腔内のすみずみまで広がりやすいソフトペーストで歯や歯ぐきにやさしい低研磨性です。

どちらもカチオン化セルロース配合によりフッ素の滞留性が高いです。
(タチオン化セルロース・・・フッ素の滞留性を高めるコーティング剤です。プラス電荷をもつカチオン化セルロースが、マイナスのフッ素イオンを静電作用により歯面に引きつけることで、フッ素の滞留性が向上します。)
また、少ない泡立ちにやさしい香味なので、少量洗口が可能でより多くのフッ素を残せます。

歯磨剤は口腔内の状態や年齢によっても変えていく必要があります。ぜひ担当の衛生士に相談してみてくださいね(^^)/

千種区 たなか歯科クリニック
歯科衛生士 堀毛

歯周病や虫歯の放置で、出っ歯・すきっ歯になる?「フレアアウト」

こんにちは! 名古屋市千種区 たなか歯科クリニック 歯科医師の 満田 誠 です。

さて、タイトルに書いたこと。本当なのでしょうか?
まずはご安心ください。全ての方が、そうなるわけではありません。
“重度に歯周病が進行してしまった方” 、 “奥歯が抜けたまま放置されている方” 、 “虫歯が大きくなりすぎて歯冠が欠けてしまった箇所が沢山ある方” に多く起こる現象です。

「フレアアウト」とは、上の前歯の歯並びが 放射状に広がって傾いていく事。それにより、出っ歯 や すきっ歯 に徐々になっていきます。
非常にゆっくりと進行していくので、自分ではそのことになかなか気づきません。「あれ?そういえば、私 前歯の歯並びが昔と違ってない??」と、思うくらいです。

なぜ、フレアアウトが起こってしまうのかというと??
まず主な原因は、「臼歯部の咬み合わせの崩壊」です。

①  重度に歯周病が進行すると、歯を支えている骨が吸収して減っていき、骨の支持を失った歯は段々とグラついてきます。

② 咬み合わせの基礎となっている奥歯がグラグラしてきて、その高径(咬み合わせの高さ・位置)を保てなくなっていくと、やがて臼歯部の高径が低くなっていきます。

③ 奥歯の高径が低く、より深く咬みこむようになった結果、相対的に前歯へその負担がかかっていきます。

④ 以前より 咬む力強くを受けるようになったため、下の前歯が上の前歯を突き上げ、押し広げるような力がかかるので、上の前歯の歯並びが傾いて広がり「フレアアウト」します。

また、前述のように 奥歯が抜けたまま放置していていたり、虫歯で歯が大きくかけて咬み合わなくなっている歯が多数ある場合も、「臼歯部の咬み合わせの崩壊」に繋がり、フレアアウトの原因となります。

お気づきかもしれないですが、フレアアウトは “口腔内の悪環境の放置” によって生じます。自分でお口の中の状況が良くないと知っていながらも、痛み等の症状が顕著に無いため、ズルズルとそのままにしていくうちに進行していき、いつの間にかフレアアウトしているのです。顔貌も、咬合高径が低くなっているため、昔よりクシャッと変わっているでしょう。

実際にフレアアウトした場合の治療は、困難を極めます。
まず、原因が臼歯部の高径低下にあるため、それを再構築しないと 前歯の咬み込みの深さを改善できないからです。高度な矯正・歯周病・補綴の総合治療が必要となります。
そうならないうちに治療するのが、何よりも解決の早道です。
もし、このブログを読んで心当たりがある方がありましたら、お気軽にご相談ください。悩みが深くなる前に、一緒に解決していきましょう。

千種区 たなか歯科クリニック
歯科医師 満田 誠

口腔機能低下症ってなに?

皆さんこんにちは!名古屋市にあります、たなか歯科クリニック歯科医師の木方です!
さて本日は、口腔機能低下症について書いていこうと思います。口腔機能低下症とは、加齢や疾患、障害などによりさまざまな機能が低下してくる症状です。口腔機能低下症には、口腔衛生状態不良、口腔乾燥、咬合力低下、舌口唇運動機能低下、低舌圧、咀嚼機能低下、嚥下機能低下の7つの診断基準があります。次にそれぞれについて書いていきます。

口腔衛生状態不良:口腔内で微生物が増加した状態です。それにより、誤嚥性肺炎や術後感染、口腔内感染症を引き起こす可能性が出てきます。
 検査法:口腔内細菌カウンタを使っての舌背上の微生物数の計測・舌を9分割しての舌苔スコア

口腔乾燥:唾液分泌量が低下することで口渇、ねばねば感、喋りにくさや飲み込みにくさ,舌の痛みなどさまざまな症状が現れます。また、脱水、シェーグレン症候群、唾液の分泌障害なども疑われます。
 検査法:口腔水分計、口腔湿潤計を用いて口腔粘膜湿潤度検査。サクソンテスト

咬合力低下:噛む力が低下した状態です。残存歯や咬合支持の低下、顎付近の筋肉の衰えにより咀嚼能力に影響が出てきます。咬合力低下や口腔乾燥により食べられるものが少なくなると食欲が低下し栄養状態が悪くなってしまいます。
 検査法:感圧シートで咬合力測定

舌口唇運動機能低下:しゃべったり、飲み込んだりするのに必要な舌や口唇の機能が低下してしまう状態。脳血管疾患、認知症、パーキンソン病などの疾病、老化、廃用により舌や口唇の速度や可動域が低下します。それにより、会話が聞き取りにくい、食べこぼしや食べるのに時間がかかる、嚥下しにくいなどがあります。
 検査法:オーラルディアドコキネシス(パ・タ・カを一定時間に何回発音できるか計測)

低舌圧:舌と口蓋との間に発生する圧力のことです。舌圧が低い場合食べ物を効率的に咀嚼することができなくなってしまったり、咀嚼した食べ物を喉に送ることが困難になってしまったりします。
 検査法:舌圧測定器で測定

咀嚼機能低下:咀嚼とは、食べ物を咬み砕き、唾液と混和し嚥下するまでの動作になります。口腔内で食べ物をいかに噛み砕けるかによって、その後の嚥下や消化の効率が変わります。そのため,先ほどの咬合力や舌圧もこの機能に深く関わってきます。
 検査法:グミゼリーを咀嚼しグルコセンサーや咀嚼能率スコア法で測定

嚥下機能低下:嚥下とは食べ物を胃に送り込むまでのことを言います。これが低下することで食べ物を飲み込めなかったり、誤嚥したりします。
 検査法:EAT-10や聖隷式嚥下質問紙を用いて、いくつかの質問に答えてスコアを計測

今回は口腔機能低下症について書かせていただきました。人生100年時代と言われる時代,健康に長生きするためには、口腔の機能は欠かせないものになります。また何か疑問点等ありましたらお気軽にお尋ねください。

名古屋市千種区覚王山通 医療法人TDCたなか歯科クリニック 歯科医師 木方 奨

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