歯科今昔4

歯科今昔4

こんにちは。お久し振りです。歯科医師の三浦です。


皆さんは歯医者で麻酔をした経験はありますか。とても痛い思いをしたことがある方もいらっしゃるでしょうし、反対に、まったく痛くなかったとおっしゃる方もあるでしょう。

また麻酔のときは痛くなかったのに、治療が始まると痛くなった方もいるかも知れません。あるいは麻酔を何本追加されても、どうしても痛みが出るといった方もいらっしゃるかも知れません。

麻酔時の痛みはなぜ出るのでしょう。理由は複数あります。

まず挙げられるのが、注射針を刺す速度です。刺入(しにゅう)するとき、針の先端は粘膜の中を進みます。極端な言い方をすると注射針は肉体を切り裂きながら体内へと入って行くため痛みが出るのです。ここでは、ゆっくり刺すのがコツです。

次に麻酔薬を入れる速度です。針をゆっくり入れても、そのあと注入される麻酔薬を勢いよく入れてしまうと、これも痛みの原因になります。ここでも同じく、麻酔薬は肉体の中へと入って行くのですから。ゆっくり入れるのがコツです。

針の場所も大事です。刺す場所がどこであれ、上の顎や下の顎には必ず骨があります。骨の表面には膜があり、骨膜と呼ばれ、ここは痛みをとても感じやすい場所です。ここでのコツは、針先を決して骨膜に当ててはいけないという点です。

以上、針を刺す速度、麻酔薬の注入速度、そして注入の場所に気を配ることがコツである、と教わりました。このことを踏まえて無痛の麻酔を目指して行きたいと思っています。

さて、どこの歯医者でも麻酔薬を使うかと思いますが、それは痛みから逃れるためです。古代においても人は同じことを考え、麻酔薬を何にしようか四苦八苦していました。

感覚を鈍らせる成分が含まれた植物を見付け、根や茎から薬を作りました。西洋ではマンドラゴラ、ヒヨス、中東ではアヘン、アジアではマリファナや鍼が用いられました。

今でこそ、これらは麻薬の塊みたいな面々ですが、当時の最先端の麻酔薬でした。マンドラゴラはローマ帝国の皇帝ネロの時代(西暦68年頃)に普及し、帝国が滅びても人々に使われ続けました。

ローマ帝国が滅ぶと麻酔薬の進歩は止まり、8世紀にイスラムでエーテルが発見されるまで数百年間、代わり映えしませんでした。磁石で無痛治療を行うというインチキ医者が現れた程で、その後なんと18世紀になるまで麻酔薬の進歩はほぼありませんでした。

そうした中で1772年、笑気が発見されます。今でも治療に使われるこの気体は画期的で、身近な材料で大量に作ることが出来たため、あっという間に広まりました。モルヒネを作った科学者でさえも、自身の歯痛を抑えるのに笑気に頼ったほどでした。当時、笑気は、大量に吸うとアルコールに酔ったのと似た気分になれるため、遊び半分で吸う人さえもいました。

ヨーロッパで誕生した笑気はアメリカに渡り、かの地で洗練され、とうとう抜歯の際に用いられるのが普通のこととなる時代がやって来ました。笑気で初めて施術された人は抜歯術が終わったあと、こう叫んだと言われています。「抜歯の新時代だ」と。1844年、ここに到り、人類はようやく抜歯の痛みから解放されました。

長い歴史の上に、こんにちの麻酔が成り立っています。無痛の注射方法を早速実践し、最初から最後までの無痛を心がけています。

たなか歯科クリニック 歯科医師 三浦唯一

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