歯が原因で鼻の病気!?

歯が原因で鼻の病気!?

歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)

歯が原因で蓄膿症(副鼻腔炎)になってしまっている状態です。
大きなむし歯があったり、以前に神経の処置(歯内療法)を受けていることがほとんどです。
一般的に原因である歯を治療し、それでも治らない場合は口腔外科、耳鼻咽喉科で処置が必要になる場合もあります。

実は上顎の奥歯ではレントゲンを撮ると、結構な頻度で歯の根の先の炎症が上顎洞まで進んでいるのを見ます。

無症状であることが多いのですが、何かのきっかけで顔が腫れ上がり激痛が走る場合もあります。

【当院でのケース】

関西方面に単身赴任中の患者様です。
遠方から通院の方はそれだけリスクが増えますので、気が引き締まります。
できればご近所の歯科医院にかかって頂けたらベストなのですが。。。

上顎いちばん後ろの歯の違和感を訴えています。
問診や様々な診査をした後にレントゲンを撮影しました。

根尖病巣がハッキリと写っています(赤い点線の範囲)。

CT撮影しました。

4ブロックに分けた画像で右上の画像を見てください
(見づらくてすいません)。

上顎で歯の上のくもりが左右で異なることに気がつきましたか?
画像の右側は上顎洞の粘膜が腫れて白く写っています
(左右逆に写りますので患者さんにとっては左側です)。

このケースではたまに鼻閉感があるそうですが歯と直接関係しているかはわかりません。
歯の神経をとる「抜髄」処置がされていましたが、
その時は痛みはとれたようですが、残念ながら感染は深いところまで進んでいます。

 

日本の抜髄処置の成功率は世界的に見てかなり低いレベルです。

しかし日本の歯科医の技術レベルは低くありません。
なぜこのような状況なのか。
長くなりますのでまたの機会にコメントします。
(ネットで検索すればすぐに見つかるでしょう)

治療計画を立て、まず被っている冠を外し歯内療法を行うことにしました。

(マイクロスコープ ・ミラー像)

人工物を取り除くと、歯の根っこの中からウミが出てきました。
白っぽく写っている液体がそれです。

周囲がグリーンに写っているのがラバーダム、歯の周囲の青色のものが密封するためのプラスチックです。

歯の中のバクテリアを減少させるのが今回の治療の目的です。

歯をしっかり隔離し唾液などからの感染を防ぐことは治療の基本中の基本です。

もちろん使用器具はしっかりと滅菌されています。

今回の場合は「リトリートメント」と言って治療した歯の再治療です。
通常の治療よりも当然難易度は高くなります。

特に注意することは根管内を消毒する時に多量の消毒液を使用します。
この際、薬液が上顎洞まで漏れ出してしまうと重篤な問題が生じます
(ヒポクロアクシデント)。

どんなに注意深く施術しても、根の先が壊れていて漏れやすい構造になっている場合もあります。

それでも洗浄・消毒しなくては治りません。
根の治療はホントに難しいといつも思います。

根の先の病巣まで器具が届いたことを確認したレントゲン写真です。
根の先は肉眼では見えませんしマイクロスコープ でも確認できない場合はレントゲン写真を撮影します。

今回のように膿が出てくるケースは比較的簡単に病巣までタッチできます。

しかし根の神経の管が詰まっている時は、とても苦労します。

歯科医も頑張りますので、患者さんも頑張って諦めずに通院して下さいね!!

根充(根の中を封鎖すること)後のレントゲン写真です。

仮封までしているためラバーダムをはずして撮影しました。

根尖病巣は縮小しています。

(最初のレントゲン写真と比較してみてください)

臨床的な所見は特にありません。

鼻閉感はなんとなく少なくなったと聞きました。

今後仮歯で経過観察し、良好ならば冠をかぶせる治療に移ります。

 

歯性上顎洞炎は歯を抜いてしまえば、跡形もなく治る場合がほとんどです。

しかし少しでも歯を残したいとお考えの方はかかりつけの先生にご相談すると良いと思います。

このケースにおける担当
歯科医:田中
歯科衛生士:奥田

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